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でも無理して笑うかい
もう最後だから笑った顔を見せてくれ
尾びれと腹に黒い模様のある 真っ赤な金魚
家に持ち帰り 用意した水槽に放してやった
彼は頭をしきりにガラスにぶつけてしまったけれど
赤いカラダが見事に翻るのを
鮮やかな色と共に覚えている
君はいつも水の中 僕の姿を睨んでた
背びれの大きなやつれた 真っ赤な金魚
水槽は狭かった だけど彼はヒラヒラと舞った
はじめは慣れなかったガラスも すぐに慣れて
巧いこと見事に翻るのを
鮮やかな色と共に覚えている
この四角い監獄の中に
僕は君を押し込めて
だけど傷つけやしない たっぷり愛してあげた
君から見える天井は
いつも同じ空だった
だけどきっと 君は不思議に思わなかった筈
夕焼けの光に鱗が焼かれて 君は息苦しくなったのか
ある日監獄の抜けた天井から 外の世界へ飛び出した
そうしてやっと気が付いた あまりに大きな空気の質量が
自分の小さな肺におさまりきらないことに
空気を飲み込もうと 生きようと
必死に暴れて もがいて 身悶えて
美しい鱗はたくさん傷ついた
そうして君は そっと真っ赤な息を吐き出して
冷たい床に体を横たえたまま
たくさんの鮮やかな色を眼前に見たんだろう
僕が抱き上げた時にもう君は何も見えてはいなかった
目は白く 口は爛れていたけれど
その眼球の奥では 鮮やかな色を見たんだろう
君はもう私を許してくれたかな
私はロゴスを失いました
君は私を許してくれるかな
私はヌースを吐き捨てました
私の愛しのヒュペルウーシオン
万物を超えた存在は それはそれは美しくて
あまりにステキだったから どうしても欲しくなったその翼
あの口喧しいフェルカーを お前は鍋で煮てしまった
そうしてたっぷりグツグツと スパイス効かせて煮てしまった
「美味しい美味しいスープだよ ほら肉が骨から離れてきた」
これは楽しい罪と罰
君はもう私を許してくれないね
私はウーシアを消してしまいました
君はもう私を許せないのだね
私はまだ空腹のままでいます
私の愛しのト・エイナイ
理解を超えた秘密の元素 とてもとても美しくて
あまりにも儚かったから 捥ぎ取ってしまったその細い手足
あの口喧しいフェルカーを お前は鍋で煮てしまった
そうしてじっくりグツグツと 野菜もたっぷり煮てしまった
「美味しい美味しいスープだよ ほら纏わりつく香りたまらない」
これは楽しい罪と罰
お前のリズムは心地よい
U字の足強く踏みしめて 苔の生えた土を空へ
境目が見えなくなるまで
350度の世界って どんな世界なんだい
ボクの姿が見えているのかい
返事は多分 ないよ きっとない
お前のことが好きで仕方ないんだよ
しなやかなカラダも 長く美しい首も
全部 ボクのものにしてもいいかい
だってだって 骨まで嘗め尽くしたって構わないんだよ
凍った大地は刺さるようで 足をとられては
お前の大切な命が奪われそうで
U字の足のリズムを変えよう 僕の命令です
もう僕らの境目はないよ
350度の世界って どんな気分なんだい
お前の命を狙う足元の苔を殺してやろう
それでも返事 ないね きっとない
お前のことが好きで仕方ないんだよ
吐く息の荒さも 乱れる長い髪も
全部 大切に食べつくしてもいいかい
だってだって 苦しまずに優しく殺してあげていいんだよ
お前と僕が一つになれば もう天地左右何も見えないものはないんだよ
空気を裂くような 心地よいお前からの返事
最初はただ アナタの足跡を追いかけて
何も知らずに あの森へと
木陰からほら 光がこぼれている
パキパキと 足の下の木の枝が折れるよ
何も考えず あの森へと
天井がほら あんなに高くなっている
気が付けば
辺りはもう見たことのない道ばかり
気が付けば
辺りはもうさっき通った道だらけ
アナタはボクに言った ここはとても優しい場所
アナタはボクに言った ここはとてもとてもステキな場所
だけどもう戻れない
もう真後ろを振り返っているのかすら ボクにはもう解らない
気が付けば
辺りはもう光の届かない森の陰
気が付けば
辺りはもう夜風の支配する世界
アナタはボクに言った さあボクを捕まえておくれ
アナタはボクに笑って 今度はアナタが逃げる番だよ
だからもう戻れない
今度はボクが逃げる番で 一体誰が追っているのかボクには解らない
森の陰で遊ぼう
さあついておいで
ここは優しい場所 ここはステキな場所
ようこそ ようこそ